今年の新入社員は「消せるボールペン型です」だと…?もういい加減にしろ!
「日本生産性本部」という組織による、毎年ウンザリするレッテル貼り活動
「日本生産性本部」というシンクタンク(研究機関)が、毎年、新入社員をものに例えて発表しているのをご存じでしょうか?
平成27年度の新入社員は、「消せるボールペン型」だそうです。
消せるボールペンは高温下で文字が消えることになぞらえ、上司が熱血指導すると、個性を失い、離職する危険性をはらんでいると指摘。同本部は「若いうちは何度も書き直しができると思い、チャレンジしてほしい」
・・・はぁ!?
それ本当に、「今年度の」新入社員の特徴なの!?
結論ありきでレッテル貼ってるだけなんじゃないの!?
オッサンがひねり出した、ただの大喜利の答えなんじゃないの!?
ということで、もう少し詳しく調べてみました。
毎年発表される新入社員の「型」を調べてみたら、予想以上にクソだった。
この組織、毎年新入社員を何かに例え、発表しています。その都度ニュースになるようで、たしかに何度か聞いたことがありました。
(自分が新入社員だった時は、心の底からイラッと来たのを覚えています。)
調べてみると、驚くことに1973年から続いてる行事のようです。
(2002年までは「現代コミュニケーション・センター」という組織が命名しており、それを引き継いだ模様。)
ですが、すでに皆さんお察しのとおり、、
この例え、ただの「こじつけ」です。
今年と去年を入れ替えたところで、なんら影響ないと思えるほどの根拠の薄弱さです。
(上のYahooニュースコメント欄でも、オーサーの横山信弘氏が指摘していますね。)
以下、今年までに発表されたたとえ、全てをまとめます。
1973年 - パンダ型
1974年 - ムーミン型
1975年 - カモメのジョナサン型
1976年 - たいやきクン型
1977年 - 人工芝型
1978年 - カラオケ型
1979年 - お子様ランチ型
1980年 - コインロッカー型
1981年 - 漢方薬型
1982年 - 瞬間湯沸かし器型
1983年 - 麻雀牌型
1984年 - コピー食品型
1985年 - 使い捨てカイロ型
1986年 - 日替わり定食型
1987年 - テレフォンカード型
1988年 - 養殖ハマチ型
1989年 - 液晶テレビ型
1990年 - タイヤチェーン型
1991年 - お仕立券付ワイシャツ型
1992年 - バーコード型
1993年 - もつ鍋型
1994年 - 浄水器型
1995年 - 四コママンガ型
1996年 - 床暖房型
1997年 - ボディシャンプー型
1998年 - 再生紙型
1999年 - 形態安定シャツ型
2000年 - 栄養補助食品型
2001年 - キシリトールガム型
2002年 - ボディピロー型
2003年 - カメラ付ケータイ型
2004年 - ネットオークション型
2005年 - 発光ダイオード型
2006年 - ブログ型
2007年 - デイトレーダー型
2008年 - カーリング型
2009年 - エコバッグ型
2010年 - ETC型
2011年 - はやぶさ型
2012年 - 奇跡の一本松型
2013年 - ロボット掃除機型
2014年 - 自動ブレーキ型
いやはや・・・「ご苦労さま」というコメントしか浮かびません笑。
もはや笑うしかないですが、具体的にいくつかピックアップしていきますと、、
(次のサイトを参照しましたhttp://sizen.yamagomori.com/04_yume/freshmantype.html)
平成22年度(2010年)・・・「ETC」型
性急に関係を築こうとすると直前まで心の「バー」が開かないので、スピードの出し過ぎにご用心。
IT活用には長けているが、人との直接的な対話がなくなるのが心配。
理解していけば、スマートさなど良い点も段々見えてくるだろう。
“ゆとり”ある心を持って、上手に接したいもの。
思わず最後に「歌丸です」と付けたくなるような、すがすがしいまでの単なる大喜利です。
考えた人のドヤ顔が目に浮かびます。
繰り返しになりますが、この「特徴」が「この年度の」新入社員特有のものだとは、到底考えられません。
平成15年度(2003年)・・・「カメラ付きケータイ型」
その場で瞬時に情報を取り込み発信するセンスや処理能力を持ち、機能も豊富だが、経験や知識がなかなか蓄積されない。
また、中高年者にとって使いこなしきれない側面もある。
山田くん、座布団一枚持ってっちゃってー(*'▽')
もう一度繰り返しますが、この「特徴」が「この年度の」新入社員特有のものでは、絶対にありません。
平成13年度(2001年)・・・「キシリトールガム型」
種類は豊富、価格も手ごろ。清潔イメージで虫歯(不祥事)予防に効果ありそうで、味は大差ない。
味は大差ない…!?(;・∀・)
本当に、どの年度を見ても、呆れることしかできません。
本当に根拠がない。
組織のHPに、本年度の「型」決定の元となった意識調査の結果がまとめられています。
このデータ自体は、なかなかに興味深いです。
【過去最低】「海外勤務のチャンスがあれば応じたい」に対し「そう思う」とする回答(50.1%)
【昨年度伸び幅5.8ポイント上昇】「給料の決め方(給与体系)」に対し「業績や能力よりも年齢、経験を重視して給与が上がるシステム」を希望する回答(44.1%)
などなど、いくつか興味深い、有意義とも言える調査結果が記されています。
(この種の調査では「わが国で最も歴史のあるもの」だそうです。)
なのに、
この調査結果のまとめを何度読み返しても、「消えるボールペン型」に結びつく根拠が見当たらないんです。
消えるボールペン自体も今年度にまつわるものでもないし・・・、
もはや、以前のボツ案を使いまわしたのではないかと思えるほどの、例えのクオリティの低さです。
今年度以前も、「東日本大震災の直後で~」等、中にはかろうじて「その年度ならでは」の根拠が見てとれるものもありますが、、
基本的にはどの年度もこじつけ、あるいはこじつけてすらいない新入社員の一般化です。
もう、こんな発表はやめたらどうか。
この「型」のレッテル貼りの滑稽さを伝えたく、少し茶化した書き方をしましたが、笑いごとではなく、即刻発表をやめるべきものだと考えています。
「根拠なきレッテル貼りによる、新入社員の一般化」がどんな弊害を生むか、想像に難くはありません。
「今年の新人は自動ブレーキ型だからなぁ・・・」(2014年)などと上司に言われて、新入社員がどんな気持ちになるのか、レッテルを貼った者たちは想像しているのでしょうか?
(もっとも、そこまで浸透してもいないですが。)
そもそも、
この「型」を決める組織は、学識経験者などで構成されているそうですが、、
学者・研究者であるなら、「結論ありきでデータを見る」(=こじつける)ことの危険性を、しっかりと認識するべきではないのでしょうか?
(別にここで、小保方氏の件を持ち出す必要もないでしょう。学識者の恒例行事として、非常にみっともないものだと思います。)
「いやいや、ただのユーモアですよ」
「話のタネになればいいと思って」
などと言い訳するのでしょうか?
はっきり言います。
新入社員を毎年ものに例えて発表する団体なんて、キモいです。
各メディアも是非、こんなニュースを垂れ流さないでいただきたい。
(つねづね思っていたので、ちょっと真面目に書いてしまった。。)
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